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「元気でね」

 先日、善信寺のお檀家さんが亡くなりまして、葬儀をさせていただきました。無事に通夜、葬儀も終わり、いよいよ最後のお別れのとき、棺桶にふたをする直前、亡くなられたご主人に対して奥さまが、「元気でね…」とお言葉をかけていらっしゃいました。この一言には本当に胸をつかれました。永年連れ添われたご主人が先に旅立たれ、「いずれは私も後を追いかけていきます。次の生でも是非一緒に。でもそれまではどうぞお変わりなく…」という気持ちが込められていたのでしょう。まさに「偕老比翼(かいろうひよく)の契(かたら)い」です。
 それぞれに翼を片方一枚しか持たない伝説上の鳥は、夫婦で左右に並び、お互いの足りない翼を補い合って必ず夫婦一対で空を飛びます。この鳥を『比翼』といいます。昔、幼稚園の先生の結婚式に喚ばれたときに、スピーチでもこの話をさせてもらいました。「おめでたい披露宴に、お経の話で恐縮ですが…」と前置きしながらも、「比翼のような夫婦にぜひどうぞ」とあいさつしました。もちろん自分もかくありたいと思います。そう言えばもう間もなく11月22日の、「いい夫婦の日」ですね。

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