この日は私に取っては修行生活をスタートさせた記念日です。昭和63年4月5日に、私は大学を卒業してすぐのタイミングで、京都の天龍寺僧堂に修行にまいりました。でも本当はもっと早く行かなくてはならなかったのです。天龍寺の、いわば新学期スタートの日は4月15日でしたので、早い人は1か月くらい前からもう修行道場に出かけていて、新年度スタートまでに身体を慣らしておくわけです。遅くとも3月末までには行くべきでした。それを4月に入ってからのこのこと出かけたものですから、5日間の入門試験が終わった4月10日の夜には、「入制(つまり『新学期スタート』の意味ですね)前にのこのことやってきやがって!」とか、「シャバの臭いはぷんぷんさせやがって!」とか散々怒鳴られ、警策(座禅のときに使う棒ですね)でばしばしと叩かれました。今、思い返せば、むしろ『いい思い出』なのですが、当時は「いやはやとんでもないところに来てしまった」という思いでいっぱいでした。でもそのときの体験が今の自分を作ってくれたとも思いますし、ささやかな自信にもつながっていることと思います。今でもよく夢に出てまいりますが、不思議と『つらい思い出』という感じで出てきたためしがありません。ありがたいことです。